ドライバーの高齢化とドライバー不足
物流業界全体のドライバー平均年齢は国土交通省の統計によると45.2%は40~54歳となっているようです。
軽運送に限定すると、体感値ではありますが概ねの平均年齢は47~56歳くらいの辺りに位置しているのではないかと思われます。
現実に30代から20代の同業者のドライバーさんと出会うことはほとんどなく、40後半から60代が主になっています。
軽運送ドライバーになる方の事情は様々で、この仕事が好きでやる人、本業をもっていて生活のためにする人、定年退職後の仕事としてする人などです。
軽運送は基本的に業務委託契約で個人事業主であることが大半で、雇用されている人はあまり見かけない印象ではありますが、雇用でない分、ある程度、働き方に自由が利くということはメリットかもしれません。
弊社では20代が多く60代が一人、30代が5、6人といった構成なので少し異質かもしれませんが、嬉しい限りです。
物流業界のドライバー不足は顕著であり、軽運送も例外ではありません。
仕事それ自体があるものの、ドライバーが不足しているために請けきれない状況が長く続いています。
運賃は上昇しないがコストは上がる
物流業界の平均的な利益率は3%程度で一台あたり3%~5%程度と言われています。
また、ヤマト運輸の運賃値上げ報道は記憶に新しいですが、ドライバー不足から運賃上昇が行われている印象ではあるものの、現実にはそれほど上がっている実感はないのが現実です。
というのも、燃料は基本的に高止まりしており、中東で有事が発生する懸念、消費税の値上げ、ガソリン税との二重課税、車両メンテナンス費や維持費なども含めて考えると、適正運賃と言えるには程遠い水準であることは否めません。
ミクロの面では中小零細クラスの企業は交渉力も弱いため、このような背景があっても中々運賃アップの交渉ができないのが実情なのです。
マクロ経済の面で見れば、運賃規制や水屋と呼ばれる利用運送業の規制が緩すぎ、実運送業者が請け負う運賃が低い水準のままになってしまっている現実があります。
当然、間に入る業者が増えれば各社何割か抜くわけで、ほとんどババ抜きのような状況になってしまうのです。
このような経済構造や商慣習は実は昔から存在しており、「物流2法」と呼ばれる規制の緩和が影響したと言われています。
物流業という業種は、人々の生活を支えるインフラ産業であるためにどうしても一般的なビジネスのような自由競争的な性格は薄い傾向があります。
道路建設は政治的な運動も関わりますし、化石エネルギーを中東から輸入している為、燃料コストは自身の努力でどうにかできるものでもありません。
2tトラック以上は燃料価格にサーチャージが加えられることも最近はほんの少し見ますが、軽運送の場合ではまずサーチャージなどありません。
なぜなら、軽運送事業者はいわゆる「ひとり社長」で個人事業主であるために交渉力が弱く、軽運送フランチャイズと称した悪徳商法を行う企業もあり、かつて大事件にもなったのです。
この業界に入ろうとする方がこの記事を観ているのだとしたら、まだそういった業者もいるのでお気をつけください。
こういった背景もあり、これまでは運送業者はもとより、ドライバーが蔑ろにされがちでしたが、現在は荷主も元請け運送業者も無理難題を要求するようなことはかつてほど多くなくなりました。
「人手不足」、「物流特殊指定の運用」、「下請法の運用」がそれらの要因の一部と推測できます。
人手不足ではなく運賃不足
現状、運賃はかつてよりは上昇傾向にありますがそれでも、コスト面を考えると、運賃は低いままと言わざるを得ません。
運賃基準はこれまで自由とされてきましたが、事態を重く観た国土交通省を始めとする関係各所が昨年末にガイドラインを設置しました。
トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン
しかし、これはあくまでもガイドラインであり、確認したところ物流業者の交渉材料のひとつでしかないとの回答なので規制とは違い、あとは各々の努力しだいであるということになります。
人手不足が激しいと言われている昨今ですが、実際、物流業のイメージはいわゆるキツい、低賃金、長時間といったイメージがあり、ドライバーの応募がないということが現実です。
この業界に人を集めるには、運賃が全体的に上がれば良いわけですが、荷主の需要は「常に低コスト」です。
つまり、荷主が儲かり余裕がなければ運賃は自然に上がることはあり得ず、極端にドライバーがいなくならない限りは運賃上昇は期待しづらいと言えます。
また、人手不足を補うために外国人労働者のドライバーについても議論されていますが、これも中々難しいようです。
というのも、外国から来て日本語の会話もままならない上に、細かい住所表示や慣れない漢字、運転免許の取得をしなくてはならず、交通事故のリスクや軽自動車の購入等の投資リスクを踏まえると彼らにとって「そこまでする仕事じゃない」と判断されるようです。
個人的な知り合いの外国人の人に聞いてみたら、「本国にてっとり早く送金したいのに、そんな面倒なこともケガをするリスクも取れない」といった主旨が大半でした。
他には、単純に「面倒である」とか「危険」ということでした。
外国人労働者は外国人労働者同士で先に来た人が情報を多くもっているのでその繋がりから職や住まいを見つけるため、その人のツテに依存しがちになります。
こういった事情からある意味、軽運送業界はそれらの要素が外国人労働者の参入障壁となっていますので、今後も人手不足は続き、慢性的になると予想できます。
自動運転技術の発達や人工知能のシンギュラリティなどの兼ね合いもありますが、現状で仕事が無いということはなさそうです。
軽運送業界は事実上、「日本語が使えて、日本の慣習を理解した人」しかできなくなっています。
そのような人にドライバー志望で来てもらうには、より多くの報酬をあげなくてはなりません。結局、運賃を上げるしかないということになります。
賭けてもいいですが、一日5万円稼げるなら応募が殺到すること間違いありません。
つまり、現状言われている人手不足というものの正体は運賃不足に繋がるものなのです。
まとめ
「ドライバーの高齢化や業界の不人気」
「コスト高」
「人手不足という名の運賃不足」
が軽運送業界の全体的な実情です。
あくまでも一般論ですので例外はあります。
弊社などは確実に例外であると言えます。
弊社のドライバーは全体の8割が20代と30代のドライバーです。
人が人を呼び、何かトラブルがあればドライバー同士が助け合う社風です。
各ドライバーの方々には本当に感謝しています。
もちろん、ドライバー各々の事情は様々です。
夢を追うために弊社で資金や生活費を稼ぐ人、本業としながらも自分の能力を上げるために様々な勉強をしてそれをネットに公開すような人、この仕事が好きな人など千差万別です。
弊社はチャーター便が主で、大手宅配便の仕事も請けていません。
宅配便については私達も長く、そして、苦い経験があります。
企業にもよりますが、下請け業者として入ると非常に過酷で且つ劣悪な労働環境になりがちなのです。
ドライバーを何人も抱える本部からすると、配車を組む必要がなく穴が開いたときのみ対応すれば良いといったこと、さらに安定した収入が本部に入るので、比較的簡素な業務になりますから本部としては合理的なのです。
簡単に言えば、ドライバーを連れてきてコースにはめ込み、あとは集配してくれればオッケーといったところでしょうか。
一方、弊社のチャーター便の配車は配車マンに比較にならないほど労力がかかりますが、ドライバーの稼ぎと身体的負担の軽さは宅配便の比ではありません。
本当に風通しが良い会社かどうかは「ドライバーの定着率や離職率」が判断材料とされると思いますが、元々いつでも始められていつでも辞められるのが弊社です。
基本的に「来る者は拒まず去る者は追わず」の方針ですから、特にストレスもありません。
弊社は、ドライバー一人あたりの売上が高く、同業に話しても信じてもらえないほどです。
それでも、ドライバー不足は否めません。
しかし、ドライバーと本部が同じ方向を向いていることやドライバー同士が積極的に助け合うこと、それこそが弊社の強みなのだと理解しています。
最後まで読んでいいただきありがとうございました。
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